学生実験「ブラウン運動」


 分子レベルでのミクロな運動とマクロな現象とをつなげる際に、歴史的に研究されてきたのがブラウン運動である。ブラウン運動は19世紀にロバート・ブラウンにより偶然発見された。彼は、花粉から流れ出した粒子がフラフラと運動しているのを発見し、はじめは生物に特有の運動と考えた。それに対し、アインシュタインは、その運動が水分子の衝突による影響であることを見出した。この課題では、ブラウン運動を顕微鏡で観察し、アインシュタインが提唱したブラウン運動の「激しさ」と粒子に対する流体の抵抗を結びつける関係式を確認する。

 以下のように3週にわたって実験を行う。なお、1回目、2回目の内容に関するまとめをそれぞれ2回目、3回目の実験の集合時(13:00)に提出すること。3回目の内容に関するまとめは、一覧表に書かれている締切日までに提出すること。

1.ブラウン運動の観察

 蛍光顕微鏡を用いて、ブラウン粒子の観察を行う。その画像から、粒子の位置の時間変化を追跡し、そのデータを用いて、平均二乗距離を計算し、拡散係数を求める。平均二乗距離の算出には、ExcelとCによるプログラムを用いる。

2.粒径、粘性によるブラウン運動の影響

 1回目に行った実験を、溶液の粘性や粒径を変えることにより行う。グループ内で各個人で条件(粘性および粒径)を変えて、拡散係数を求め、それらのデータをまとめてグループで一つのグラフを作成する。そして、アインシュタイン・ストークスの関係式と比較する。

3.ランジュバン方程式の数値計算

 ブラウン運動のモデル方程式としてランジュバン方程式が知られている。C言語を用いたプログラムを用いて、ランジュバン方程式の数値計算を行い、その結果に対して平均二乗変位を求める。また、粘性などに相当するパラメータを変化させ、どのように結果が変わるかを計算する。